Far away ~いつまでも、君を・・・~
次の日も、立練で記録を取る。彩、遥、町田、3人の主将、副将達はさすがの安定感だが、他の選手たちの成績がなかなか安定して来ない。
「もっとゆっくりと弓を引け。大袈裟に言えば、穴が開くくらいにじっと的を見据えて、ゆっくりと落ち着いて、弦を離すんだ。」
児玉の指示に頷いた部員たちは、また矢を手にする。
(予選だけは、何としても通らなきゃ。)
彩はずっと思い続けている。自分の不甲斐なさから、3年生に有終の美を飾らせられなかった責任を、彩は忘れたことがない。緊張から、決して高くはなかったハ-ドルを超えられなかった屈辱を忘れたことはなかった。
まして、今回の予選通過へのハ-ドルは、はっきり言って、その時よりも低い。極端なことを言えば、自分が4中すれば、あとの2人がどちらか1中させてくれば、予選は通るのだ。
(だから、私は絶対に外せない、ううん外さない。)
インハイ予選は8射。今回はその半数なのだから、決して無理なことではない。彩は自分をそう叱咤していた。
だが、やはりそれは簡単ではなかった。どうしても1射はミスが出ることが多い。
(今できなかったら、試合で全中なんて、出来るわけがない。)
唇を噛み締める彩。
そして、県大会まであと2日。立練も3日目、明日はいよいよ順立と呼ばれる完全な試合形式の仕上げの練習になる。
この日、児玉は教職員会議があり、道場に姿を現していない。
「始めよう。」
彩の声掛けで、この日の練習がスタ-トする。まず彩のチ-ムが、所定の位置に付き、まず彩から順番に弓を引いて行く。
「弓をもっとしっかり握って。」
彩から隣の部員に声が飛ぶ。
「わ、わかった。」
主将としての威厳と迫力に満ちている彩からの指摘に、その部員は緊張気味に頷く。
「女子Aチ-ム、9中。」
やがて記録係の部員から、声が上がる。その声に、彩の表情が微かに緩んだが、すぐにそれは消え
「じゃ次、女子Bチ-ム。」
と遥たちを促す。
「はい。」
遥がそう応じて、Bチ-ムが所定に位置に着く。顧問不在でも、道場の空気は、厳しかった。
「もっとゆっくりと弓を引け。大袈裟に言えば、穴が開くくらいにじっと的を見据えて、ゆっくりと落ち着いて、弦を離すんだ。」
児玉の指示に頷いた部員たちは、また矢を手にする。
(予選だけは、何としても通らなきゃ。)
彩はずっと思い続けている。自分の不甲斐なさから、3年生に有終の美を飾らせられなかった責任を、彩は忘れたことがない。緊張から、決して高くはなかったハ-ドルを超えられなかった屈辱を忘れたことはなかった。
まして、今回の予選通過へのハ-ドルは、はっきり言って、その時よりも低い。極端なことを言えば、自分が4中すれば、あとの2人がどちらか1中させてくれば、予選は通るのだ。
(だから、私は絶対に外せない、ううん外さない。)
インハイ予選は8射。今回はその半数なのだから、決して無理なことではない。彩は自分をそう叱咤していた。
だが、やはりそれは簡単ではなかった。どうしても1射はミスが出ることが多い。
(今できなかったら、試合で全中なんて、出来るわけがない。)
唇を噛み締める彩。
そして、県大会まであと2日。立練も3日目、明日はいよいよ順立と呼ばれる完全な試合形式の仕上げの練習になる。
この日、児玉は教職員会議があり、道場に姿を現していない。
「始めよう。」
彩の声掛けで、この日の練習がスタ-トする。まず彩のチ-ムが、所定の位置に付き、まず彩から順番に弓を引いて行く。
「弓をもっとしっかり握って。」
彩から隣の部員に声が飛ぶ。
「わ、わかった。」
主将としての威厳と迫力に満ちている彩からの指摘に、その部員は緊張気味に頷く。
「女子Aチ-ム、9中。」
やがて記録係の部員から、声が上がる。その声に、彩の表情が微かに緩んだが、すぐにそれは消え
「じゃ次、女子Bチ-ム。」
と遥たちを促す。
「はい。」
遥がそう応じて、Bチ-ムが所定に位置に着く。顧問不在でも、道場の空気は、厳しかった。