Far away ~いつまでも、君を・・・~
今から半年ほど前、尚輝が入学してから2週間ほど経った頃だった。その日の授業を終えた彼は、校内を探検がてら歩いていた。なんで、そんなことをしようとしたのかは、全く覚えていない。たぶん、暇だったからだろう。
ぶらぶらと、何の気なしに歩いていると、春の花がいっぱいに咲き乱れる場所に出くわした。
(へぇ、こんな所に花壇があるんだ。)
花を愛でるなんて趣味を、一欠片も持たない尚輝は、それ以上の感慨を抱くこともなく、自分の意思でこの場所を訪れることは2度とないだろうと思いながら、すぐに立ち去ろうとすると、1つの人影が近付いて来たのに気付いた。
尚輝がなんとはなしに、その姿を見ていると、制服のリボンの色から、1年先輩であることがわかるその女子は、表情を輝かせながら、文字通り、花を愛でている。
やがて、彼女は1つの花に顔を近づけると、それを手に取り、香りを楽しんでいたかと思ったら、スッと口付けたかと思うと、息を吸いこんだ。
(えっ?)
思わず目を見張る尚輝。
(な、なにしてんだ・・・?)
彼女が何をしているのか、一瞬理解出来なかった尚輝だが、やがて
(花の蜜を吸ってるんだ・・・。)
と思い至ると、彼の視線は、少女のその美しい姿と仕草に釘付けとなった。
(天女が舞い降りた・・・。)
本気で、そんなことを思いながら、半ば呆然と、その姿を見つめていると、目を閉じ、じっと花に口付けていた女子がふっと顔を上げ、2人の視線が重なった。
すると次の瞬間、パッと顔を赤らめた少女は、身を翻して、走り去って行った。そのうしろ姿を、目で追いながら
(可愛い、可愛、過ぎる・・・。)
尚輝は魂が抜け落ちたように、しばらくその場に立ち尽くしていた・・・。
ぶらぶらと、何の気なしに歩いていると、春の花がいっぱいに咲き乱れる場所に出くわした。
(へぇ、こんな所に花壇があるんだ。)
花を愛でるなんて趣味を、一欠片も持たない尚輝は、それ以上の感慨を抱くこともなく、自分の意思でこの場所を訪れることは2度とないだろうと思いながら、すぐに立ち去ろうとすると、1つの人影が近付いて来たのに気付いた。
尚輝がなんとはなしに、その姿を見ていると、制服のリボンの色から、1年先輩であることがわかるその女子は、表情を輝かせながら、文字通り、花を愛でている。
やがて、彼女は1つの花に顔を近づけると、それを手に取り、香りを楽しんでいたかと思ったら、スッと口付けたかと思うと、息を吸いこんだ。
(えっ?)
思わず目を見張る尚輝。
(な、なにしてんだ・・・?)
彼女が何をしているのか、一瞬理解出来なかった尚輝だが、やがて
(花の蜜を吸ってるんだ・・・。)
と思い至ると、彼の視線は、少女のその美しい姿と仕草に釘付けとなった。
(天女が舞い降りた・・・。)
本気で、そんなことを思いながら、半ば呆然と、その姿を見つめていると、目を閉じ、じっと花に口付けていた女子がふっと顔を上げ、2人の視線が重なった。
すると次の瞬間、パッと顔を赤らめた少女は、身を翻して、走り去って行った。そのうしろ姿を、目で追いながら
(可愛い、可愛、過ぎる・・・。)
尚輝は魂が抜け落ちたように、しばらくその場に立ち尽くしていた・・・。