Far away ~いつまでも、君を・・・~
「さすがに、あの後は1人になりたくて。昨日もどうしても学校来たくなくて、サボっちゃいました。親もたぶんサボりだって、わかってたと思うけど、何も言わずに学校に連絡入れてくれて・・・おかげで、もう吹っ切れました。」


「尚輝・・・。」


「先輩、今までありがとうございました。ずっとまとわりついて、さぞウザかったでしょうけど、でも俺は本気でした。それに免じて、許して下さい。」


と言って、自分に頭を下げる尚輝を見て


「尚輝、ごめん、本当にごめん。」


彩は思わず、頭を下げ返していた。一瞬驚いたような表情になった尚輝は


「止めて下さいよ。先輩に謝られたら、俺、余計立場なくなっちゃうでしょ。」


「尚輝、でも・・・。」


「なんでこんなに想ってるのに、わかってもらえないんだって、思ったことがないなんて言わない。はっきり言って、何度も思ったよ。でもそれは・・・俺の一方的な気持ちだし、それが伝わらなくて、先輩を恨むのも筋違いってもんでしょ。俺は先輩を好きになったことを後悔はしません。それだけは、絶対にしねぇから・・・。」


そして、微笑む尚輝。その笑顔が痛ましくて、彩の表情は暗く沈む。


「ちょっと、振った先輩がなんでそんな悲しそうな顔してるんですか?泣きたいのは、振られた俺の方なんですよ。」


「尚輝・・・。」


「同情してくれるなら、その胸で思いっきり泣かせてください。」


ニヤッと笑った尚輝に


「調子に乗るな。そんなの無理に決まってんじゃん。」


と彩は言い返す。


「そうこなくっちゃ。それでこそ彩先輩だ、そうじゃなきゃ、調子狂っちゃう。」


「バカ・・・。」


その尚輝の言葉で、彩はようやく笑顔になった。


「やっと笑ってくれた。これで・・・俺もすっきりしました。じゃ、お先に失礼します。」


そう言って、回れ右して歩き出そうとする尚輝を


「尚輝、ちょっと待って。」


彩は呼び止めていた。
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