Far away ~いつまでも、君を・・・~
⑫
尚輝に主将を引き継ぎ、彩が同級生たちと共に、弓道部を引退したのは、それから数日後のことだった。
「確かにこれで引退するけど、いきなり弓を全然持たなくなったら、ストレスで倒れそうだから、たまに顔出すよ。いいよね?」
「もちろん大歓迎です、いつでもお待ちしています。」
弓道場では見慣れない制服姿の彩の言葉に、尚輝は答える。
「本当は彩は引退なんかしたくないんだもんね。」
「全くだよ。けど、こればかりは仕方がないことだから。でもさ。」
遥に冷やかされて、しんみりとした表情になった彩は、すぐに気を取り直すように言った。
「私は、大学に進んでも、弓道は続ける。そう決めたから。」
「そうですか、それはよかったです。」
それを聞いて、尚輝が顔をほころばせた。
「だから、その為にも勉強頑張んなきゃ。」
自分に言い聞かせるような彩の言葉に
「そうだ、憧れのキャンパスライフが俺たちを待ってるんだから。」
「うん。」
横にいた遥と町田も頷く。
「頑張ってください、陰ながら応援しています。」
「ありがとう。でもさ、あんたも頑張るんだよ。あんな可愛くて、素敵な彼女が出来たんだから。」
「い、いや、それはその・・・はい。」
他ならぬ彩にツッコまれて、しどろもどろになる尚輝を見て、3年生たちは笑い声を上げる。
「さぁ、そろそろ行こう。後輩たちの練習の邪魔になるだけだから。」
彩の言葉に、遥たちが頷き
「じゃぁ、後はよろしく。」
町田が少しおどけたように、手をヒラヒラとさせながら、別れの言葉を述べる。
「お疲れ様でした!」
それに応えて、尚輝以下の1、2年生が一斉に声を出して、先輩たちに一礼し、3年生たちは礼を返して、弓道場を後にする。
「終わったね。彩、主将、本当にお疲れ様でした。」
「ありがとう。遥とマチヒロに助けてもらって、なんとか大過なく務められたかな・・・自信ないけど。」
「なに言ってんだよ。主将は交代したけど、これからも廣瀬は、俺たちの代のリーダ-だ。ずっとお前に付いてくよ。」
「からかうな。」
「本気だよ。な、みんな。」
町田の言葉に、みんなが頷くのを見て
「みんな、ありがとう・・・。」
彩は感極まったような表情になる。涙があふれそうになるのを、隠すように、彩は弓道場を振り仰いだ。
「寂しいね、引退って、やっぱり。」
「彩・・・。」
「でも、3年間、悔いなし、だよね。」
彩が精一杯の笑顔でそう言うと、遥たちはまた、大きく頷いた。
「確かにこれで引退するけど、いきなり弓を全然持たなくなったら、ストレスで倒れそうだから、たまに顔出すよ。いいよね?」
「もちろん大歓迎です、いつでもお待ちしています。」
弓道場では見慣れない制服姿の彩の言葉に、尚輝は答える。
「本当は彩は引退なんかしたくないんだもんね。」
「全くだよ。けど、こればかりは仕方がないことだから。でもさ。」
遥に冷やかされて、しんみりとした表情になった彩は、すぐに気を取り直すように言った。
「私は、大学に進んでも、弓道は続ける。そう決めたから。」
「そうですか、それはよかったです。」
それを聞いて、尚輝が顔をほころばせた。
「だから、その為にも勉強頑張んなきゃ。」
自分に言い聞かせるような彩の言葉に
「そうだ、憧れのキャンパスライフが俺たちを待ってるんだから。」
「うん。」
横にいた遥と町田も頷く。
「頑張ってください、陰ながら応援しています。」
「ありがとう。でもさ、あんたも頑張るんだよ。あんな可愛くて、素敵な彼女が出来たんだから。」
「い、いや、それはその・・・はい。」
他ならぬ彩にツッコまれて、しどろもどろになる尚輝を見て、3年生たちは笑い声を上げる。
「さぁ、そろそろ行こう。後輩たちの練習の邪魔になるだけだから。」
彩の言葉に、遥たちが頷き
「じゃぁ、後はよろしく。」
町田が少しおどけたように、手をヒラヒラとさせながら、別れの言葉を述べる。
「お疲れ様でした!」
それに応えて、尚輝以下の1、2年生が一斉に声を出して、先輩たちに一礼し、3年生たちは礼を返して、弓道場を後にする。
「終わったね。彩、主将、本当にお疲れ様でした。」
「ありがとう。遥とマチヒロに助けてもらって、なんとか大過なく務められたかな・・・自信ないけど。」
「なに言ってんだよ。主将は交代したけど、これからも廣瀬は、俺たちの代のリーダ-だ。ずっとお前に付いてくよ。」
「からかうな。」
「本気だよ。な、みんな。」
町田の言葉に、みんなが頷くのを見て
「みんな、ありがとう・・・。」
彩は感極まったような表情になる。涙があふれそうになるのを、隠すように、彩は弓道場を振り仰いだ。
「寂しいね、引退って、やっぱり。」
「彩・・・。」
「でも、3年間、悔いなし、だよね。」
彩が精一杯の笑顔でそう言うと、遥たちはまた、大きく頷いた。