星みたいな恋をしよう〜二人を繋ぐリボン〜
絆がそう言うと、また殴られる。反論すれば暴力が激しくなることはわかっていた。しかし、これだけはどうしても絆は言いたかったのだ。

「もういい。お前のことは本当に殺してやるからな!!」

何度も絆を殴った後、一は懐からナイフを取り出す。だが、意識の朦朧とした絆はもうもがく気力すら残っていない。

(オスカルさん、ごめんなさい……)

幸せな未来を歩むはずだった。オスカルとなら、どんな不安も乗り越えられると信じていた。だが、それはここで終わってしまう。

(愛してる)

心の中で絆は呟く。今頃、オスカルはホテルで絆からの連絡を待っているだろう。もう来ることのない連絡を。

一がナイフを振り上げたその時、大きな音と共にドアが開いた。驚いた様子で一と勝がドアの方を向く。

「殺される覚悟、できてるか?」

低い声が絆の耳に届く。ぼやける絆の視界の中では、一を殴り付けるオスカルが一瞬だけ見えた。



「うっ……」

身体中の痛みで絆は目を覚ます。目を開けると、そこにあったのはコンクリートの天井ではなく、真っ白な天井だった。
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