【電書&コミカライズ】推しとは結婚できません!〜最強魔術師様の結婚相手がわたしだなんて、めちゃくちゃ解釈違いです!〜
18.皇女ヴィヴィアンは疑問を呈した
エレン様が合図をすると、侍女たちがすぐにティーセットを運んできてくれた。いれたての熱いコーヒーだ。
本当なら、豆の産地とか、ティーカップが去年の誕生日にわたしが贈ったものだってこととか、美味しそうなお茶菓子のこととか、そういうことに思いを馳せたいところなのだけど、わたしは今それどころじゃない。エレン様との物理的距離が近すぎるからだ。
(隣⁉ 隣に座るんですか、エレン様⁉)
既に腰かけたあとで反対側に座り直すわけにもいかないし、かといってこのままだとわたしが酸欠になる。エレン様がこっちを見ている気配がするし(ドキドキして確認できないけど!)、このままでは死あるのみだ。
「あの、エレン様」
「ん? どうかした?」
「ちょっと近すぎじゃない? このままだとコーヒーが飲みづらい気がするなぁ、なんて……」
ダメだ。皇女のくせに威厳ゼロ。もっとハッキリ喋らなきゃって思ってるのに、エレン様の前では上手にできない。
「コーヒー、飲みたいですか?」
キョトンとした表情でエレン様が尋ねてくる。心底驚いている様子だ。
別に喉が渇いているわけじゃないし、コーヒーを飲みたいかって言われると答えは否だ。だけど「いいえ」と答えそうになったところで、わたしはゴクリと言葉を飲み込んだ。
本当なら、豆の産地とか、ティーカップが去年の誕生日にわたしが贈ったものだってこととか、美味しそうなお茶菓子のこととか、そういうことに思いを馳せたいところなのだけど、わたしは今それどころじゃない。エレン様との物理的距離が近すぎるからだ。
(隣⁉ 隣に座るんですか、エレン様⁉)
既に腰かけたあとで反対側に座り直すわけにもいかないし、かといってこのままだとわたしが酸欠になる。エレン様がこっちを見ている気配がするし(ドキドキして確認できないけど!)、このままでは死あるのみだ。
「あの、エレン様」
「ん? どうかした?」
「ちょっと近すぎじゃない? このままだとコーヒーが飲みづらい気がするなぁ、なんて……」
ダメだ。皇女のくせに威厳ゼロ。もっとハッキリ喋らなきゃって思ってるのに、エレン様の前では上手にできない。
「コーヒー、飲みたいですか?」
キョトンとした表情でエレン様が尋ねてくる。心底驚いている様子だ。
別に喉が渇いているわけじゃないし、コーヒーを飲みたいかって言われると答えは否だ。だけど「いいえ」と答えそうになったところで、わたしはゴクリと言葉を飲み込んだ。