【電書&コミカライズ】推しとは結婚できません!〜最強魔術師様の結婚相手がわたしだなんて、めちゃくちゃ解釈違いです!〜
19.皇女ヴィヴィアンは推しに求められた
「俺はヴィヴィアン様に騙されているのかもしれません」
ようやくエレン様を救い出す手がかりを掴めると期待したのに――――かえってきたのはあまりにも思いがけない返事だった。
「……わたし?」
エレン様が頷く。私は思わず身を乗り出した。
「そんな……まさか。わたしがエレン様を騙すってどういう状況なの? こんなに! こ〜んなにエレン様のことを敬愛しているのに!」
「……敬愛しているという割には、ヴィヴィアン様は俺を信じてくれないんですね。俺が誰かに騙されていると信じて、ちっとも譲ってくれないし」
拗ねたような表情で、エレン様が肩を竦ませる。わたしは慌てて首を横に振った。
「だってそれは! わたしからすれば、エレン様がわたしと結婚したいとか、可愛いって言うこと自体がありえない話で……」
その瞬間、エレン様が力強くわたしの腕を引く。
(な! なっ、なっ、な!)
なに? なんなの? なにが起きているの?
わかるのは、ふわりと漂う香水の香り。エレン様の鼓動の音。それから、わたしの身体を包み込む逞しい腕。
状況を客観的に整理するに――――多分、わたしは今エレン様に抱きしめられている。
ようやくエレン様を救い出す手がかりを掴めると期待したのに――――かえってきたのはあまりにも思いがけない返事だった。
「……わたし?」
エレン様が頷く。私は思わず身を乗り出した。
「そんな……まさか。わたしがエレン様を騙すってどういう状況なの? こんなに! こ〜んなにエレン様のことを敬愛しているのに!」
「……敬愛しているという割には、ヴィヴィアン様は俺を信じてくれないんですね。俺が誰かに騙されていると信じて、ちっとも譲ってくれないし」
拗ねたような表情で、エレン様が肩を竦ませる。わたしは慌てて首を横に振った。
「だってそれは! わたしからすれば、エレン様がわたしと結婚したいとか、可愛いって言うこと自体がありえない話で……」
その瞬間、エレン様が力強くわたしの腕を引く。
(な! なっ、なっ、な!)
なに? なんなの? なにが起きているの?
わかるのは、ふわりと漂う香水の香り。エレン様の鼓動の音。それから、わたしの身体を包み込む逞しい腕。
状況を客観的に整理するに――――多分、わたしは今エレン様に抱きしめられている。