【電書&コミカライズ】推しとは結婚できません!〜最強魔術師様の結婚相手がわたしだなんて、めちゃくちゃ解釈違いです!〜
26.俺――――皇女様のこと、ちゃんと知っているよ
「ねえ、リリアンは俺の一番のファンを自称しているのに、聞かないんだね? 俺と、皇女様との結婚のこと」
「あ……そ、それは」
しまった。いきなりそんなところまで話が飛躍するとは思っていなかった。
心の準備があまりにも不十分で、心臓がドキドキと鳴りはじめる。
「ファ……ファンだからこそ、推しの恋愛とか、結婚とか、そういうのはとってもデリケートでナーバスな話題なんです。エレン様の幸せを思えばこそ、今回のお話についてはわたしにも思うところがあるというか、なかなか複雑な心境といいましょうか。できれば避けたいなぁという状況でして……」
しどろもどろになりながらも、わたしはなんとか今の気持ちを伝えた。
エレン様は優しいし、無関係な人間――――リリアンに対して結婚の話を続行はしないだろうと高を括って。
けれど、エレン様は小さく首を横に振った。
「だけど、今の段階で避けていたら、実際に結婚したときにもっと困るだろう?」
「――――しないもん」
「うん?」
「困ったりしない。だって、エレン様は結婚なんてなさらないもん」
我ながらまるで子供みたいな物言いだ。だけど、これがわたしの本音だもん。本当のわたしだもん。
ムッと唇を尖らせていたら、エレン様はふふっと声を上げて笑う。それからなにを思ったのか、立ち上がってわたしの頭を撫でた。
「あ……そ、それは」
しまった。いきなりそんなところまで話が飛躍するとは思っていなかった。
心の準備があまりにも不十分で、心臓がドキドキと鳴りはじめる。
「ファ……ファンだからこそ、推しの恋愛とか、結婚とか、そういうのはとってもデリケートでナーバスな話題なんです。エレン様の幸せを思えばこそ、今回のお話についてはわたしにも思うところがあるというか、なかなか複雑な心境といいましょうか。できれば避けたいなぁという状況でして……」
しどろもどろになりながらも、わたしはなんとか今の気持ちを伝えた。
エレン様は優しいし、無関係な人間――――リリアンに対して結婚の話を続行はしないだろうと高を括って。
けれど、エレン様は小さく首を横に振った。
「だけど、今の段階で避けていたら、実際に結婚したときにもっと困るだろう?」
「――――しないもん」
「うん?」
「困ったりしない。だって、エレン様は結婚なんてなさらないもん」
我ながらまるで子供みたいな物言いだ。だけど、これがわたしの本音だもん。本当のわたしだもん。
ムッと唇を尖らせていたら、エレン様はふふっと声を上げて笑う。それからなにを思ったのか、立ち上がってわたしの頭を撫でた。