【電書&コミカライズ】推しとは結婚できません!〜最強魔術師様の結婚相手がわたしだなんて、めちゃくちゃ解釈違いです!〜
「「「えぇっ⁉」」」


 貴族たちの驚愕の声が広間に木霊する。ボリュームが大きいあまり、わたしの素っ頓狂な声を掻き消してもらえたのは不幸中の幸いだった。


「エレン様、あの、あの……」


 わたし、あなたとの結婚をなかったことにするつもりだったんですけど! 父が迷惑をおかけしてごめんなさいって、ひれ伏して詫びる気満々だったんですけど! それなのに婚約するって! 婚約するってみんなの前で言っちゃいます⁉


(どうしよう、なんて返事をすればいいの……⁉)


 口をハクハクとさせながら、わたしはエレン様のことを見つめた。


「お返事は今じゃなくて構いません。俺としてはできればヴィヴィアン様の部屋にうかがいたいというだけですから」

「あ……そ、そう? それならいいのだけど」


 嘘だ。本当は全くよくない。
 というか、論点は部屋(そこ)じゃない。そこじゃないのですよ、エレン様!


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