【電書&コミカライズ】推しとは結婚できません!〜最強魔術師様の結婚相手がわたしだなんて、めちゃくちゃ解釈違いです!〜
「ささ、エレン様。願いごとを思い浮かべて。ロウソクを吹き消してください!」


 リリアンに促され、俺は静かに目をつぶる。


(俺の願いごと)


 ずっとこの子と――――リリアンと一緒にいたい。


 それが実現可能な夢なのかどうかはわからない。けれど、リリアンの笑顔をずっと隣で見ていたいと、そう願いながら火を吹き消した。


「改めまして、お誕生日おめでとうございます、エレン様! 本当に本当におめでとうございます!」


 リリアンが笑う。俺は嬉しくてたまらなかった。


「ありがとう、リリアン」

「お礼を言うのはこちらのほうです! だって、エレン様が生まれてきてくださった今日というこの日が、わたしにとって一年で一番大切な日なんですもの! 一緒にお祝いできてよかった! おめでとうって直接言えて本当によかった! エレン様、生まれてきてくださって、本当にありがとうございます!」


 ふとみれば、リリアンは涙を流して泣いていた。
 可愛い。本当に、誰よりも可愛い。あの涙を直接拭ってやれたらいいのに。
 ケーキを切り分けるリリアンを見つめていると、俺はふとあることに気づいた。


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