【電書&コミカライズ】推しとは結婚できません!〜最強魔術師様の結婚相手がわたしだなんて、めちゃくちゃ解釈違いです!〜
「ですから、ヴィヴィアン様にはどうか、俺のことを見ていてほしいんです」


 エレン様が懇願する。
 縋るような瞳。熱い手のひら。
 わたしはコクリと大きくうなずく。


「うん、見てる。わたし、エレン様のこと、ずっと見てるよ」


 そもそも他の人のことなんて目に入らない。わたしにとってはエレン様が最高で、なにより大事で、本当に大好きな人だから。


「ありがとうございます。それから、俺が勝った暁には――――どうかこの手を取っていただけませんか?」


 それは――――そのひと言は、あまりにも重い意味を持つ。
 エレン様の手を取ること――――それは彼をわたしの結婚相手に選ぶこと、それから彼の想いに応えることを意味している。


(本当にわたしでいいの?)


 そう尋ねたくなるのを必死に堪えて、わたしはエレン様を見つめ続ける。だけど、答えは既にそこにあった。
 彼の瞳はまっすぐにわたしだけを見つめていて、揺らがないことを如実に物語っている。
 だったら、わたしもそろそろ腹を括らなきゃならない。


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