【電書&コミカライズ】推しとは結婚できません!〜最強魔術師様の結婚相手がわたしだなんて、めちゃくちゃ解釈違いです!〜
(ああ、いつ見ても軽やかな身のこなし。本当に美しい。羽が生えてるみたい。神だわ)


 エレン様は風を操り、騎士から距離を取りつつ魔法を繰り出していく。
 しかも、相手の怪我が最小限で済むよう最大限配慮していらっしゃる。

 他の魔術師みたいにやたらめったら魔法を出したりしていないし、ファイアボールとかサンダーボールみたいな派手な技は使っていない。あれって会場は大いに盛り上がるけど、危ないから出力制限が課されている上、発動までに時間がかかるし、その間は隙だらけだから、結構な魔術師が魔術発動までの間にやられている。多対一ならそれでいいけど、これはタイマン勝負。それが理解できていない時点で魔術師に勝ち目はない。


 その瞬間、騎士が思い切り距離を詰めてきた。次いでエレン様に向かって木刀が大きく振り下ろされる。


「エレン様!」


 思わず目を背けたくなったそのとき、エレン様は小さく微笑みながら、ほんの少しだけ腕を動かした。それは本当に些細な仕草。けれど次の瞬間、刀の動きがピタリと止まる。


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