【電書&コミカライズ】推しとは結婚できません!〜最強魔術師様の結婚相手がわたしだなんて、めちゃくちゃ解釈違いです!〜
「来たな、エレン」

「はい。本日はお招きいただき、ありがとうございます」


 お父様とエレン様が親しげに挨拶を交わしはじめた。


(どうしよう……どうしよう! 推しが――――エレン様が目の前にいる! 尊い。尊すぎる。この世のものとは思えないし、本当に素敵。ものすごくドキドキしてしまう。もしかして、お父様ってわたしを殺す気だった? 今日ってわたしの命日なのかもしれない。だけど、今死んでも悔いはない――――いや、もっともっとエレン様を見ていたいから死ぬわけにはいかないなぁ)


 頭のなかが完全にお祭り状態。自分でもどうかと思うけど、こればっかりはねぇ……病気だから仕方がない。


「皇女様、本日はお誕生日、おめでとうございます」


 そんなどうしようもないわたしに向かって、エレン様は優しく微笑みかけてくれた。どうしよう……嬉しすぎて涙が出てくる。推しに誕生日を祝ってもらえるなんて、幸運すぎる。わたし、皇女に生まれて本当によかった。


「ありがとう、エレン様。我が帝国が誇る天才魔術師様に祝ってもらえるなんて、本当に光栄だわ」


 とはいえわたしはこれでも皇女。みっともない姿を周りに晒すわけにはいかない。実際の感情の100分の1ぐらいの言葉を口にして、ニコリと優美に微笑んでみせる。


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