【電書&コミカライズ】推しとは結婚できません!〜最強魔術師様の結婚相手がわたしだなんて、めちゃくちゃ解釈違いです!〜
「皇女様、本日はお招きいただけて光栄です」


 わたしが声をかけると、ひと組の男女が瞳を輝かせた。
 どちらも見目麗しく、顔のつくりがよく似ている。


「リズウェル伯爵家兄妹ですわ、ヴィヴィアン様」

「ああ、あの――――最近よく名前を聞くわね。たしか兄は武芸に優れ、妹は才媛だっていう話だったかしら」


 ヨハナの耳打ちを聞きつつ、わたしは静かに返事をする。

 事前評判のとおり、兄のほうはガッチリと筋肉質な体型をしているし、妹のほうは理知的な顔立ちをしている。


(とはいえ、まだなんの実績もない――――手柄を立てたわけじゃないのよね)


 現時点では『将来有望な人材候補』といったところだろうか。いや――――同年代でエレン様レベルの功績を立てているのがそもそも奇跡なんだけれども。


(そうか……エレン様のお相手についてはともかく、わたしの結婚相手は既に実績がある人じゃないとダメなのよね)


 となると、候補者は既に面識のある人間に限られてくる。お茶会の参加者たちを思い返しつつ、わたしは静かに唸り声をあげた。


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