【電書&コミカライズ】推しとは結婚できません!〜最強魔術師様の結婚相手がわたしだなんて、めちゃくちゃ解釈違いです!〜
「ライナス――――今来たの?」

「ああ。仕事が残っていたからね。片付けてきたんだ」


 騎士装束に身を包み、ライナスが微笑む。


(……うん。やっぱりこの中ならやっぱりライナスが一番、皇女の夫にふさわしい、かな)


 物怖じしない態度、育ちの良さからにじみ出る気品、自信、実績。なによりもその身に流れている皇族の血の存在が大きい。


 わたしたち皇族は魔力を持たない。いや、正確には持てないといったほうが正しい。
 けれど、その代わりに神力と呼ばれる唯一無二の力を授かっている。
 それは国を守り、大地を浄化し、人々を癒し、導く力だ。


 血というものは、婚姻を繰り返す内にどうしたって薄くなる。始祖と比べたら、わたしの神力なんて雀の涙程度だろう。

 だからこそ、皇族は皇族同士で婚姻を結ぶことが多い。薄くなってしまった血を、少しでも濃く保とうとするのだ。


 他に候補となりそうな人間が見つかれば話は別だけど、時間もあまりないことだし、ライナスを担ぎ上げるのが一番手っ取り早い気がする。


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