【電書&コミカライズ】推しとは結婚できません!〜最強魔術師様の結婚相手がわたしだなんて、めちゃくちゃ解釈違いです!〜
「決まりですね。では、その際に俺たちの結婚について、改めてお話しましょう」

「え? あ……そう、ね。そうなりますよね」


 しまった、と思ったときには既に遅し。わたしがエレン様のお屋敷に行くことは確定事項。逃さないとばかりにエレン様は身を乗り出し、わたしの手を握り直した。


「楽しみにしています、ヴィヴィアン様」


 どうしよう。エレン様ったら圧倒的に顔がいい。瞳がキラキラしていて、どんな宝石よりも輝いていて、この顔を目の前にしてノーなんてとても言えない。


「うぅ……わたしも楽しみですぅっ」


 悲しいかな。これがオタクの性というものだ。
 できれば避けたいと思う話よりも、推しの笑顔が、聖地巡礼のほうが、数万倍も大事なのである。

 楽しげに笑うエレン様を前に、わたしは複雑な心境でため息をつくのだった。
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