【電書&コミカライズ】推しとは結婚できません!〜最強魔術師様の結婚相手がわたしだなんて、めちゃくちゃ解釈違いです!〜
13.推しを摂取するという概念
先輩の言葉で我に返ったそのとき、ちょうどリリアンがお盆を手に戻ってきた。
「お待たせいたしました。カプチーノをおふたつ、お持ちしております」
ニコニコと愛想のいい笑みを浮かべながら、リリアンがテーブルにカップを置く。明るく元気な受け答えの割に、その手付きは優雅かつ丁寧だ。そういえば、姿勢や歩き方も美しかった。まるで名のある貴族に仕える侍女――――いや、貴族そのものの立ち居振る舞いのように。
けれど次の瞬間、それとは全く別の理由で、俺は驚きに目を見開いた。
「これ……魔術師団の紋章ですか?」
小さなティーカップのなか、カプチーノに描かれた繊細な模様。それは俺たちがしょっちゅう目にしているもの――――魔術師団の紋章だった。
「ええ、そうです! 本当は魔法陣を描きたかったんですけど、さすがにレベルが高すぎてラテアートにできなかったので……もう少しシンプルな魔術師団の紋章を描いてみました」
「シンプルな、って……言うほどシンプルではないと思いますけど」
というか、普通に複雑だ。三日月の中に大きな五芒星が入り込み、その周辺に細かい模様が散りばめられている。飲み物というよりもはや芸術作品に近い。俺は素直に感心した。
「お待たせいたしました。カプチーノをおふたつ、お持ちしております」
ニコニコと愛想のいい笑みを浮かべながら、リリアンがテーブルにカップを置く。明るく元気な受け答えの割に、その手付きは優雅かつ丁寧だ。そういえば、姿勢や歩き方も美しかった。まるで名のある貴族に仕える侍女――――いや、貴族そのものの立ち居振る舞いのように。
けれど次の瞬間、それとは全く別の理由で、俺は驚きに目を見開いた。
「これ……魔術師団の紋章ですか?」
小さなティーカップのなか、カプチーノに描かれた繊細な模様。それは俺たちがしょっちゅう目にしているもの――――魔術師団の紋章だった。
「ええ、そうです! 本当は魔法陣を描きたかったんですけど、さすがにレベルが高すぎてラテアートにできなかったので……もう少しシンプルな魔術師団の紋章を描いてみました」
「シンプルな、って……言うほどシンプルではないと思いますけど」
というか、普通に複雑だ。三日月の中に大きな五芒星が入り込み、その周辺に細かい模様が散りばめられている。飲み物というよりもはや芸術作品に近い。俺は素直に感心した。