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「俺も負けてられねぇな!」

一はグッと拳を握り締めながら言う。その時、「誰かと何かを競い合ってるの?」と声をかけられた。振り向けばそこには芽衣が立っており、一の胸は高鳴っていく。

「芽衣、いつからいたんだよ?」

「さっきから。それより、「負けてられない」って何の話?」

「いや、そんな大したことじゃないから」

「もしテストなら、勉強付き合うよ?一は数学と英語が苦手だからね」

芽衣はフフッと笑いながら一の腕に抱き付く。体が密着し、一は芽衣の体の柔らかさに緊張を覚えながら「ありがと」と言う。

どちらからともなく「帰ろうか」と言い、茜色に空が輝く中、二人は並んで校舎を後にする。一が振り返って教室の窓の方を向けば、そこでは静音が写真部の顧問である担任と何かを熱心に話しているのが見えた。



一が過去のことを思い出している間に卒業式は終わり、一たち三年生は教室に戻って最後のホームルームを終えた。三年生は教室で写真を撮ったり担任と話した後、名残惜しそうに教室を出て行く。
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