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一と芽衣が勉強や部活をする中、静音は彼の元でバイトをしながら写真の技術について教わり、高校を卒業したらカメラマンの助手として働くことが三年生の秋には決まり、そこから彼の仕事に同行するために学校を欠席することが時々あった。
「私、卒業式は出られないの。先生の撮影の手伝いで東南アジアに行かなきゃいけないから」
そう静音に卒業式の少し前に言われた時、一は驚いて言葉を失ってしまった。本当は一緒に卒業をしたい。だが、仕事の邪魔をするわけにはいかないと「そっか。頑張れよ」と笑顔を作って言ったのだった。
「ごめん。せっかくの卒業式なのに、こんなことばっか考えてて……。嫌だろ?本当にごめん」
ただの幼なじみとはいえ、彼氏が他の女のことをずっと考えているのは嫌だろう。一は芽衣に謝る。しかし、芽衣は優しい笑みを浮かべながら首を横に振った。
「そんなことないよ。大切な幼なじみが一緒に卒業できなかったなんて、寂しいよね。……そうだ!」
芽衣は閃いたと言わんばかりに目を輝かせる。キョトンとする一に、芽衣は「静音ちゃんが帰国する日っていつ?」と訊ねた。
卒業式から約二週間後、一たちが通っていた高校の近くにあるカフェは貸切にされていた。そのカフェの可愛らしい水色のドアには、「××高校卒業式」と書かれた手作りのプレートがかけられており、カフェの中は一と同じクラスの人、そして写真部の後輩、担任の先生などがおり、賑わっていた。
「私、卒業式は出られないの。先生の撮影の手伝いで東南アジアに行かなきゃいけないから」
そう静音に卒業式の少し前に言われた時、一は驚いて言葉を失ってしまった。本当は一緒に卒業をしたい。だが、仕事の邪魔をするわけにはいかないと「そっか。頑張れよ」と笑顔を作って言ったのだった。
「ごめん。せっかくの卒業式なのに、こんなことばっか考えてて……。嫌だろ?本当にごめん」
ただの幼なじみとはいえ、彼氏が他の女のことをずっと考えているのは嫌だろう。一は芽衣に謝る。しかし、芽衣は優しい笑みを浮かべながら首を横に振った。
「そんなことないよ。大切な幼なじみが一緒に卒業できなかったなんて、寂しいよね。……そうだ!」
芽衣は閃いたと言わんばかりに目を輝かせる。キョトンとする一に、芽衣は「静音ちゃんが帰国する日っていつ?」と訊ねた。
卒業式から約二週間後、一たちが通っていた高校の近くにあるカフェは貸切にされていた。そのカフェの可愛らしい水色のドアには、「××高校卒業式」と書かれた手作りのプレートがかけられており、カフェの中は一と同じクラスの人、そして写真部の後輩、担任の先生などがおり、賑わっていた。