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「それでは、本日二回目の卒業式を行いたいと思います!」

芽衣が司会を務め、クラスメートたちから拍手が上がる。その中心にいるのは、東南アジアから帰国した静音だ。驚きつつも、少し泣きそうな顔をしている。

『私の親戚がこの高校の近くでカフェ経営してるの。そこを貸し切って静音ちゃんの卒業式をしようよ!』

そう芽衣が提案し、一も「それいいな!」とその提案に乗り、二人でカフェに交渉しに行ったり、飾り付けをしたり、クラスメートたちに声をかけたりと急いで準備をしてきたのだ。

「毛利静音さん、卒業おめでとう」

担任が卒業証書を手渡し、静音は「ありがとうございます……」と震えた声で言いながら受け取る。その様子を見守っていたクラスメートや後輩たちから拍手が上がり、一も負けないほど大きな拍手を鳴らす。

「静音、おめでとう!!」

一がそう言うと、口々にみんな「おめでとう」と声をかける。静音は目に涙を浮かべながら頭を下げた。
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