lens ll
「私のためにありがとう!こんなに素敵な卒業式が待ってるなんて、東南アジアで一から連絡貰った時はびっくりしたわ」
「礼なら俺じゃなくて芽衣に言ってやってくれ。あいつ、すごく張り切ってたからさ」
「うん、あとでお礼言う。……ところで、一は芽衣ちゃんと大学一緒なんだっけ?」
「学部は違うけど、同じ大学だよ」
一がそう言うと、静音は「そうだったね」と微笑む。だがその微笑みは、どこか暗い影を落としているように一には見えた。
「静音、大丈夫か?お前そんな笑い方しないだろ。何かあったのか?あのカメラマンとか同じ事務所の人にいじめられてんのか?」
一は心配になり訊ねる。すぐに静音は「やだな、みんな優しい人たちよ」と返したものの、その手は髪に触れていた。その癖の意味を幼なじみである一はよく知っている。静音が緊張した時にする癖である。
「何でお前、緊張してんの?」
小学校から高校までずっと一緒の幼なじみと話す時に緊張するなど、相当な理由があるはずだ。一が訊ねると、静音は息をゆっくりと吐き、少しだけ泣きそうな顔で言う。
「礼なら俺じゃなくて芽衣に言ってやってくれ。あいつ、すごく張り切ってたからさ」
「うん、あとでお礼言う。……ところで、一は芽衣ちゃんと大学一緒なんだっけ?」
「学部は違うけど、同じ大学だよ」
一がそう言うと、静音は「そうだったね」と微笑む。だがその微笑みは、どこか暗い影を落としているように一には見えた。
「静音、大丈夫か?お前そんな笑い方しないだろ。何かあったのか?あのカメラマンとか同じ事務所の人にいじめられてんのか?」
一は心配になり訊ねる。すぐに静音は「やだな、みんな優しい人たちよ」と返したものの、その手は髪に触れていた。その癖の意味を幼なじみである一はよく知っている。静音が緊張した時にする癖である。
「何でお前、緊張してんの?」
小学校から高校までずっと一緒の幼なじみと話す時に緊張するなど、相当な理由があるはずだ。一が訊ねると、静音は息をゆっくりと吐き、少しだけ泣きそうな顔で言う。