あたし、魔女だよ?【完】
「そうなの?」
「ああ。そういうの面倒って思うタイプなんだよ」
「ふーん? ………」
「お前は? じいさんに見合い促されただけじゃなさそうだが?」
「……俺ね、今付き合ってる子がいるんだよ」
「めでてぇな」
「それがさ……也寸之さん、この話誰にもしないって約束してくれる?」
「お前さんをからかうために使うことはあっても、他言はしねえよ」
「からかわなくていいんだけど。それが……海外のあやかしの能力を持ってる、異能がある子なんだ」
小さな声で言うと、也寸之は少しだけ眉をあげた、
「ほお、そりゃでかく出たな」
「あんま驚かないね」
也寸之の反応は和仁には意外だった。しかも結婚どうのの話をしたばかりだというのに。
也寸之はけろっと答える。
「そりゃお前、うちみたいなとこでそういう例は珍しくねえしな」
「え、そうなの?」
祓魔や祓魔師の歴史は勉強してきても、和仁は自分の家やほかの祓魔師一族のことは後回しにしてしまっていた。
父が当主として君臨する期間は長いだろうからその間に覚えようとタカをくくってしまっていた。
「そうだよ。お前のひとつ年上の小路の跡取り。父親が鬼だってのは知ってる奴は知ってる話だ」
「……ええ!? 小路って……影小路?」
影小路の後継者。
最強陰陽師の名をほしいままにしている存在だ。
「そうだよ」
「だ、大丈夫なの……?」
色々と……弊害が出てきそうなものだ。
「あー、まあそのせいで襲名反対されてるとか延びてるって話も聞くけど、最強陰陽師って呼ばれてるし、陰陽師としては大丈夫なんじゃないか?」
「そ、……そうなんだ……」
つまり影小路の後継者の母親は、鬼を――妖異が伴侶にしたということか。
「お前さんが異能の娘を嫁にしようとしたら、反対する連中はいるだろう。でもそれを超えても望むか、諦めるかはお前次第だ。家を捨てるって考えは、ハナからねえんだろ?」
「―――」