モノクロの世界で、君が手を差しのべてくれたから
 (痛っ……)

 正直、何が起こったのか分からなかった。

 分かるのは、車が突っ込んできて、私と萌、他にも歩道を歩いていた人数名を巻き込んで近くの店に突っ込んでいたこと。
 悲鳴にも似た声が多数聞こえ、騒然としている。

 私も萌も、跳ね飛ばされ歩道に横たわっていて、体中が痛くて起き上がろうにも起き上がれない状態だ。

「萌……っ」

 少し離れた所に横たわっている萌に、手を伸ばし精一杯出せる声で、萌の名前を呼ぶけど、萌はピクリとも動かない。

(嘘でしょ……!?)

 そして、誰かが110番している声が聞こえた。
もうすぐ、救急車やパトカーが来るだろう。

(……萌、もう少しで病院に行けるよ。それまで頑張ろうね)

 限界だった私は、そのまま意識を手放した――。

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