モノクロの世界で、君が手を差しのべてくれたから
 そして……萌のお葬式を終え、やっと落ち着いたある日。

 私もようやく明日から、学校へ行こうと決意をしていたのだけれど。

 リビングから、私と萌の話が聞こえてきた。
 私はリビングには入らず、ふたりから見えない場所で話を聞いている。


「ねぇ、あなた……萌がいなくなっちゃったなんて……嘘よね?」

「母さん……」

「だっているじゃない……さっきだって一緒にご飯を食べて……っ。萌は死んだの……? ……なんで? 萌じゃなく、死んだのが紗英だったら良かったのに……」

「……俺だって同じことを何回思ったか」

 ふたりは、萌が亡くなった事実を受け入れられないらしい。

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