モノクロの世界で、君が手を差しのべてくれたから

第一章 姉の死

「紗英、ほら行くよ~!」

「うん、ちょっと待って! 萌」

 私たちは、毎朝一緒に通学している。
 最寄りの駅までダッシュすることは日常茶飯事だけど、いつも姉の萌が私を気にかけてくれている。

 私、氷川紗英(ひかわさえ)と姉の(もえ)は一卵性双生児の双子だ。
 特段仲がいいわけでも、悪いわけでもないけど、一緒に行動することが多い。

 高校も同じ高校に通っていて、今は2年生。
 その2年生も、早数ヶ月が過ぎた。もうすぐ夏だ。

 何より、萌とは同じクラスになったため、双子特有のアレが今までより増えたのは、ちょっと憂鬱なところではある。

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