モノクロの世界で、君が手を差しのべてくれたから
 その日の放課後。

 予定通り、成瀬くんと一緒に帰っていると今日の授業中の話になった。

「現国の授業さ、あれ、萌ちゃんすぐ答えられるとかさすがだったよ!」

「そう?」

「……でも、あぁいう問題って紗英ちゃんのほうが得意だったよな」

「……っ」

 ヤバい……。変に反応してしまった。
 急に「紗英」の名前を出してこられたら、そりゃあ……反応にも困るよ。


 ……でも、成瀬くん……そんなこと知ってくれてたんだ?


 私が気まずそうにしてしまったからか、成瀬くんは慌てて話し始めた。

< 34 / 67 >

この作品をシェア

pagetop