モノクロの世界で、君が手を差しのべてくれたから
「ふ~ぅ! 俺たちの前でイチャつかないでもらえますかぁ?」

 茶化すように私と雄輝くんに話す成瀬くん。それを見てる茜は、少し複雑そうな表情をしている。
 茜のことだから、本来の私「紗英」が雄輝くんのことを好きだったから、そのことを思い出してるのかもしれない。

「そういえば、その夏祭りって……もう明後日の日曜じゃない!?」

 茜が思い出したかのように話し始める。

 私は、今年は行かないだろうと思っていたから、去年も行ったその夏祭りの日程なんて知らなかった。

(そっか……もう明後日なんだ)

「めちゃくちゃ直近じゃん! って、言い出したのは俺か!」

 楽しそうに話している成瀬くん。
 私のせいで、茜には心配かけちゃってるけど……今ここで本当のことを言うわけにもいかない。

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