モノクロの世界で、君が手を差しのべてくれたから
 そう思うと同時に、これは「萌」として見られているんだということに、改めて現実を突きつけられる。
 自分で決めたことなのに。萌になりすまして、浴衣着てるんだから、雄輝くんが「萌」として私を見てるのはごく普通のことだ。

「すごく可愛いよ、萌……」

「あ、ありがとう……」

 でも、改めて言われるとやっぱり照れてしまう。「萌」として言われてるのは頭では分かっているのに。

「も~、熱い熱い! これ私や成瀬くんいたら邪魔なんじゃないの!?」

「っだぁ~~! そんなこと言うなって~! 茜ちゃんを励まそうの会でもあるんだからさ~」

「あ~はいはい! じゃあ、ほら行こう! もうすぐ花火も始まるよ。ベストな見物席を探さないとね。どこかがいいかなぁ」

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