モノクロの世界で、君が手を差しのべてくれたから
 そして、好きな人さえも、萌とかぶってしまうという……なんという運の悪さ。
 また萌じゃん。

 案の定、萌と雄輝くんは付き合い始めた。

 萌の近くにいるからこそ、当時は、私の好きな人でもある雄輝くんと萌が楽しそうにしているのが、内心……イラっとしていたのも事実で。

 でも萌にも嫌われたくないから、言葉では萌を祝って、心は劣等感でまみれてた。
 萌を選んだのは雄輝くんだ。雄輝くんを選んだのも、萌。

 もちろん、ふたりは悪くない。

 成瀬くんは、私が落ち着いて話せるよう、少し場所を移動してくれた。
 でも、雄輝くんや茜が戻ってきた時に私がいなかったら、変に思われてしまう気がして、気が気じゃない。かき氷の屋台の方を何度もチラ見してしまう。

「紗英ちゃん、あとでふたりにはきちんと話そう? だから、大丈夫。とりあえず、話を最後まで聞かせてくれない?」

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