モノクロの世界で、君が手を差しのべてくれたから
 そう言った成瀬くんの表情は、私を心配してくれているのか、とても辛そうに見えた。

 ……なんで、何も怒らないの? 私、成瀬くんや皆を騙してたんだよ?
 そんな風に言っちゃいそうだったけど、今はとにかく、話を続けた。

「それまでも、何かと比べられては萌を贔屓してて、私は必要とされてないんだって……前から思うようになってて、今回の事故でそれを今まで以上に目の当たりにしちゃったから、萌の代わりでもいい……誰かに必要とされたかった……うっ……ぐすっ……」

「でも、こんな風に思ってる自分自身も嫌い……っ……」

 私が話してる時は、真剣に耳を傾けてくれていた成瀬くん。

 泣くつもりなんかなかったのに、何してるんだろう……私。

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