モノクロの世界で、君が手を差しのべてくれたから
「萌ちゃん、もう話そっか。このふたりだって、薄々勘づいてるよ……きっと」

「……うん」

 成瀬くんに話したことを全て話せるわけではない。雄輝くんを好きだった話は本人の前で出来るわけもないし、雄輝くんを困らせたくもないから。

 劣等感にまみれてた話、自分は誰からも必要にされてないんじゃないかと思ってた話などを一通り、ふたりに話した。

「俺は、萌の支えになってる紗英ちゃんのこと、すごくいい妹だなって思ってたよ。萌、言ってたんだ……『紗英に好きな人ができたら全力で応援したい。いつも悩みとか聞いてもらってるし、紗英といたら心が落ち着くんだ~。最高の姉妹なんだよ!私たち』ってさ。凄く自慢げに話してた」

「そんなこと言ってたの……?」

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