モノクロの世界で、君が手を差しのべてくれたから
 それに、萌は私が雄輝くんを好きだってことを知らない。知ったらきっと、気まずくなる。
 私が彼への想いに蓋をすればすむだけの話なんだ。

「おっはよ~! 朝からふたりして何辛気臭い顔してんだよ~」

 そう言って元気に私たちに話しかけてきたのは、雄輝くんの友達の成瀬柊也(なるせしゅうや)くんだ。

 彼は、パッと見チャラそうに見えて、中身もチャラい……らしい。これは茜のデータだけど。
 要するに、見たまんま……チャラいのだ。でも、不思議と悪い噂は聞いたことがない。

 雄輝くんと同様、クラスのムードメーカー的な存在。
 私は出会った頃は苦手だったけど、成瀬くんは萌や雄輝くんたちと一緒にいることが多いから、自然と私も話すようになった。

(意外と話しやすいんだよね……)

「成瀬くんさ~、色んなとこにしっぽ振ってチャラチャラするの、そろそろやめたほうがいいんじゃない?」

 茜の悪気のない毒舌が、成瀬くんに突き刺さる。

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