れんれんと恋するための30日
蓮の周りはワケありだらけ⁇
「幸~、幸~」
福は眠りにつくと、すぐに幸の存在を探した。
幸と福は、こういう形でしか触れ合うことができない。
福はもちろん幸の姿や形を見ることはできないけれど、でも、幸は福が鏡を覗きこむ時に、福の姿を確認できた。
福の体は幸の体だけど、福はもう幸の体を自分のものにしていた。
大きな目はさらに大きく見え、口元はいつも上がっている。
その表情は、明らかに幸のものではなかった。
鏡に映る福を見て、幸は福が自分の近くにいることをいつも感じていた。
「福、おかえり」
その幸の言葉は、感触となって福の頬をかすめる。
「幸、教えてほしい。
幸の目から見える私の行動ってどう思う?
高校生の女の子って、もっと大人なの?
福らしくいたいと思う反面、福らしくってただの子供と一緒だって事に気付いた。
れんれんの彼女の透子さんを見たら、勝ち目なんて全然ない…」
幸はクスッと笑った。
「こんな例え話は、神様に怒られちゃうかもしれないけど。
福が今でも元気に生きてたとしても、福の性格はきっとこんなんだったと思う。
だから、子供っぽいとか感情がすぐ出ちゃうとか、それも福の個性なんだから、自信を持って頑張って」