憧れのヒーローはヤンキー?いや、私の王子様でした




割と早めに戻ってきた理玖はもう直視できなかった。

濡れた髪の毛はかきあげられていて、制服姿だけでも色気がすごいのに、100倍くらいの色気がダダ漏れだった。


「…なに考えてんだか。」


部屋の隅で縮こまってる私を見て、側にやって来るとしゃがんで私と目線を合わせる。

顔を手で覆う私の手首を掴んでそう言った。


その顔はバカにしてるとか、呆れてるとかの顔じゃない。
じっと私の心を読み解くような真剣な顔をしてた。




理玖に手を引かれて部屋を出て、お風呂場へと連れて行かれる。


「何でも使って良いから。」

さっきより心臓のスピードは落ち着いたものの、今度は1つ1つの音が大きく響いてる。


妙な緊張感を抱きつつ、目の前にある大きな鏡に映る自分を見るといつもより顔が赤かった。

なんか泣いてたみたいな目になってるし、唇もたらこだと言われても言い返せないぐらい赤い。


こんな顔で理玖といたのかと思うとガッカリして、変な緊張感が解けていった。


心配されていたのかと思うぐらい顔がほてってる。
これはシャワー浴びろと言われて、感謝しないといけないぐらいの酷さだ。



理玖に感謝して肌にくっつくニットワンピースも脱ぎにかかる。

今日のデートは失敗だともはや開き直っていた。





一方でソファに背を預け、天井を眺める理玖は長めに息を吐いてた。

やっと聞こえてきたシャワー音に耳を傾けながら、さっきまでの自分を褒める。


潤んだ目にほてった顔
赤く色づいた唇にラインがでる服装



「あいつ俺を試してんのか…?…いや、天然か。」


天然ほど怖いものはないと彩に出会ってから何度も思い知った理玖



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