憧れのヒーローはヤンキー?いや、私の王子様でした





汗を流したらすっきりした。
おまけにメイクも流してしまったけど…。

メイクなしでも可愛いって言ってくれたから大丈夫だと自分を励ます。



理玖が用意してくれてた着替えはぶかぶかのスウェット上下で、下がずり落ちるのをなんとか手で押さえる。


理玖の匂いに包まれてることが嬉しくてしばらく匂いを嗅いでいた。







落ちないように押さえながら部屋に戻ると携帯をいじってた理玖が私に気づいた。


ソファに座れと手で誘導され、大人しく隣に座る。

すると手にドライヤーを持った理玖が私の髪を乾かし始めた。


「自分でできる…。」

「いいから。前向いてろ。」




時間かかるから申し訳ないと思いつつ、憧れのシチュエーションだと思うと理玖が私の髪に触れるたびにまたドキドキし始める。





「理玖…、もう卒業だね。」


申し訳ないから会話だけでも…。と思いついたことを話してみる。


「そんな感じねーけどな。」

「何で?」

「ほとんど行ってない。」

「…そうなんだ。」



何で?とは聞けない。理玖の人生だし。私は空き教室で結構会ってたし。



「……?私とほぼ毎日会ってた時あったよ?」

「……そうだっけ。」


とぼける理玖

とぼける理由が分からなくて振り返ると無言で頭を前に戻される。




「卒業式もうすぐだね。」

「へぇ。」

「知らないの?」

「あとどんくらいだ?」

「1ヶ月ないよ。」

「おーー。」


このやり取りで本当に学校の思い出がないことが伝わる。ほとんど行ってない人の反応だ…。



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