憧れのヒーローはヤンキー?いや、私の王子様でした
「え?待って、あの男子イケメンじゃない!?」
誰かの声と共に視線がまた集まる。
「あんなイケメンいた!?」
「見えないっ。」
「俺はー?」
「わぁっ!」
「かっこいい…!」
今度は反対側からかっこいいと聞こえてくる。
どういう状況なのかと混乱しつつ流されるまま最初のカップルの方へ歩かされる。
カップルだと思っていた2人はどうやら違うみたいで、男子が集まってきた女子たちをじっと見つめながら次々に手元に寄せている。
近づきたくないと思ってなんとか輪から抜け出す。
「何の騒ぎですかぁ?これ。」
「分からないん、です、よ…。」
後ろからかけられた声に振り返りながら答えて後悔する。
そこにはツインテールの加奈子ちゃんがいた。
「あっ、彩ちゃんだぁ。久しぶりだね。」
「う、うん…。」
「どうしたの?あ、イケメン見れなくて悲しいの?」
そう言うと加奈子ちゃんは「この子も遊ばれたいって!」と叫んで左右に手を振った。
周りから
「加奈子…?」
「あれって夜鴉の元姫じゃん。退学した。」
「なんかやばい子だったよね?」
聞こえてくる声が不愉快なのか冷たく睨む加奈子ちゃん
さっきの男子2人が数人女子を連れて加奈子ちゃんの側にやって来た。