憧れのヒーローはヤンキー?いや、私の王子様でした
「え、ありがとうございます。」
「ガキが大人の真似するからだ。」
「やっぱり似合ってない?」
髪を整えて隣を見つめる。
綺麗な横顔が一瞬だけこっちを見たと思ったらバチッとデコピンをされた。
「いたっ!」
結構な強さのデコピンで両手で押さえて痛いと恨みを込めて言う。
「罰だ。」
「何のですか。私何もしてないです。」
「文化祭で浮かれてる。」
浮かれてる…って。
文化祭って、そういうものじゃないの?
なんだか気持ちが沈み始め、浮かれてると言われたからかここにいることが悪い気がしてきた。
戻って接客の手伝いでもしようか。
「お金今度払います。ありがとうございました。」
肩が触れるくらい近くに座ってた彼から離れる。
温もりがなくなって寂しく感じてしまった。
足の痛みを少し感じるものの、手当てしてくれた嬉しさからか和らいでる気がした。
…やっぱり浮かれてるのかな。
トボトボ歩いて空き教室のドアを開けようと手を伸ばした時、後ろから手が重ねられた。
「体のライン出すぎ。足見せすぎ。」
そんな言葉が聞こえたと同時に掴まれた手がチャイナ服のスリット部分に持っていかれる。
「隙見せすぎると襲われるぞ。」
隠せという意味だろう。スリット部分を手に掴まされる。
襲われるって…。
「先輩も襲うんですか?」
そう言って振り返ると少し目を見開いて、鼻で笑われた。
「誰がお子ちゃまを襲うか。そこまで飢えてねぇから俺」