憧れのヒーローはヤンキー?いや、私の王子様でした
唯一動かせる足を力いっぱい振り切る。
「いった。…何してんだ?」
ギリッ…と手首が折られそうなほど締め付けられる。
「離してっ!」
「足癖がわりぃな。」
「中で押さえつけるか。」
一気に押されて遊具へと押し込まれる。
「嫌っ!やめて!」
「響くんだよ。静かにしろ。」
そう言われて、今にも押し倒されそうになった時
「クズが触れるな。」
冷たい声が遊具内に聞こえて、次の瞬間私の周りを囲んでた人たちが外へ消えていった。
その後、鈍い音が聞こえて、うめき声も聞こえる。
出られない私は自分の身を守るようにしゃがみ込んで目を閉じて耳を塞いでた。
「大丈夫か。」
どのくらい経っただろう。
力いっぱい閉じてたせいで視界がぼんやりしてる。
入り口から伸ばされた手が見えて、自然と掴んでいた。
目の前には倒れてるさっきの人たち
久しぶりに見るこういう光景に固まっていると突然視界が覆われた。
「見るな。」
一言聞こえて、今度は優しく手を引かれる。
さっきの人たちとは違う優しい手だと感じる。
そして視界を覆っているのは私のパーカーのフードだと分かり、そのまま足元だけの視界で歩いて行く。