憧れのヒーローはヤンキー?いや、私の王子様でした
何も考えないまま、手を引かれるがままに歩いていると急に止まった。
そして掴まれてた手が離れてしまって、行き場のなくなった私の手が戸惑いを隠せないでいた。
少し手を探すけど見つからず、ゆっくりと自分に引き戻そうとしたら、今度は優しく包み込むように手を握られた。
大丈夫だと言ってるみたいに握られた手がぎゅっとされて、私も軽く握り返した。
それからゆっくりと繋がれた手が絡み合った。
知らない人と恋人繋ぎしてる状況に恥ずかしさで顔が見れず、視界に入った恋人繋ぎを穴が開くくらい見つめる。
「電車で帰るのか?」
「…はい。」
その会話だけであとは無言のままおそらく駅に向かってる。
フードを被ったまま俯いて歩く私を気にかけてくれていつの間にか隣で歩いてた。
とぼとぼ歩く私を急かさないで歩幅を合わせてくれる。
「家まで1人で大丈夫か。」
その言葉に首を横に振って、絡んでる手もぎゅっと握ってた。
「ふっ。じゃあ送ってやるよ。」
電車に乗ってピッタリとくっつく私に何も言わないこの人
それどころか落ち着けるようになのか、頭を引き寄せられて包まれた。
…この人誰なんだろう。知ってる人?