憧れのヒーローはヤンキー?いや、私の王子様でした
さすがにここまで知らない人にするだろうか。
そんなことを思いながらも、私自身もここまで甘えてしまっているために顔を合わせるのが恥ずかしくなっていた。
これでクラスの男子とかだったら余計恥ずかしい。
結局そのまま最寄駅に着いてしまう。
もう、ここまでにしよう。
じゃないと離れがたくなってしまう。
「あのっ、ここまでで大丈夫です。」
「家まで行くけど。」
「大丈夫ですっ。ほんとありがとうございました!」
繋がれた手を離して頭を下げる。
そしてくるっと振り返って早足で立ち去る。
助けてくれた人にこんな態度は申し訳ないけど、恥ずかしすぎる気持ちが勝ってた。
前を向いて見慣れた駅を早足で進むと、また手が掴まれた。
「手首、ちゃんと冷やしとけよ。あと何かあったら連絡しろ。」
そう言って手に何か握らされる。
「…そのままでも十分綺麗だぞ。」
ぽんぽんと優しくされ、また温もりが離れて行った。
胸がぎゅっとなって、両手を握りしめながら顔を上げる。
帽子を被ってる後ろ姿
それが何でか、文化祭の時に見たあの人の後ろ姿と重なって余計胸がぎゅっとなる。
握りしめられた手の中には11桁の数字が並んでいた。