憧れのヒーローはヤンキー?いや、私の王子様でした
抱きつかれる寸前で女に拳が入る。
「理玖さん遅くなりました!祐希さんは下にいます!」
「さんきゅ。」
「はいっ!!!」
「待って…っ!ゴホッ!」
「クソブス女!……てめぇ、夜鴉じゃねーか。あ"?喧嘩売ってんのか?」
「そうよ!私、夜鴉の姫、黒田加奈子よ!離しなさい!この私に汚い手で触るな!」
「夜鴉は趣味悪りぃな!!」
ゴッと鈍い音が聞こえ、静まる。
…夜鴉の女、ね。
それなら俺の名前知ってても不思議じゃない。
とんとんっと階段を降り、下にいた祐希と合流する。
「ここに来る意味なくなったから、しばらく来ない。」
「夜鴉の姫ねぇ…。よっぽど彩ちゃんが憎いんだな。」
女の後始末に駆けつけた奴らに見送られながら裏門を目指す。
「夜鴉どうするかな。」
「次はないって送ったもんな?姫の暴走を止められない幹部に責任あるよねー。」
見慣れた黒塗りの車が来ており、ドアが開かれる。
「彩に変わりは?」
「昨日の放課後は随分と暗い表情でした。何かしたんですか?」
「理玖、学校内は引き続き同じクラスの奴らに任せるから。俺も気にかける。」
「頼んだ。」
「横山さんも引き続きお願いします。あ、あと理玖のメンタルケアも。」
「うるさい祐希」
「やっぱり喧嘩したんですか?理玖様、彩様はきっと純粋…」
「横山うるさい。喧嘩してないから。早く帰って仕事するぞ。」