憧れのヒーローはヤンキー?いや、私の王子様でした
2人の会話を聞きながら、胸が高鳴ってる。
違う"りく"くんなのに。でも、私の中では…
震える手を落ち着かせながら、一文字一文字思いを伝えるように書く。
りくくん大好き♡
「…っ、こっちは何て書きますか?」
「んー、じゃあ、毎日お疲れ様♡で。」
「分かりました!」
緊張しすぎたせいで最初の方が字が下手に見える。
「ごめんなさい!緊張してしまいました!」
「大丈夫ですよ。純粋な人柄が伝わります。」
「…そんなこと分かるんですか?」
「ふふ。字だけじゃ無理ですね。」
…何を言っているんだと不思議に思いつつ、お会計をして、ケーキを2つ手渡す。
「おじさんにこんなこと言われても迷惑だと思いますが、あなたは笑顔がお似合いですよ。真っ白な笑みに癒される人がいます。」
「えっ…?」
男性は「では。」と綺麗な会釈をして去って行った。
「あっ、ありがとうございました!」
夜7時までのバイトは無事に全部売り切れた。
笑顔を褒められたんだと気づいた私は笑みを絶やさずに目まぐるしいバイトを乗り切った。