憧れのヒーローはヤンキー?いや、私の王子様でした
「殴られたの!遊蘭の下っ端に突然!」
「は?いきなりか?」
「私っ、怖かった…っ。」
倉庫の幹部室で泣きわめく女
航は今にも遊蘭に殴り込みに行きそうな勢いだが、他の奴らが落ち着かせている。
「本当に何もなく突然殴られたのか?遊蘭がそんなことする奴らじゃないと思うんだけど。」
「加奈子のこと信じてくれないの!?」
「加奈子が嘘言ってるってか!?」
「落ち着けって!」
甲高い声が響き頭がおかしくなる。
……もう終わらせるか。この集まり。
『次はない。』
あれだけのことがあって、お咎めなしだったんだ。
あいつと遊蘭の関係を知らなかったのもお咎めなしの要因だったのかもしれない。
だが、今回は見逃されないだろう。
遊蘭の下っ端に突然殴られたと主張する女
それを完全に信じて荒ぶる航
冷静に考えれば、他の幹部のように疑問を持つのが普通だ。
遊蘭総長、安達理玖
ある界隈では、この名前を聞けば真っ先に立ち去ることが勧められている。