王子と魔王の溺愛対決 キュン死注意報・発令中
私はうつむきながら廊下を歩く。
「ひぃあ」っと小さな声が漏れたのは、界魔君の背中に顔をぶつけてしまったから。
「…ごっ、ごめんね」
まさか界魔君が、突然足を止めると思ってなくて。
ちゃんと前見て歩け!って、怒鳴られそう。
私はオドオドしながら、界魔君の背中を見つめちゃうんだけど……
界魔は振り返ろうとはしない。
前を向いたまま、左手を横に突き出している。
ん?
これは?
「ほら……手……」
「えっ?」
「俺様達……婚約者ってことにしてるし……一応……」