王子と魔王の溺愛対決 キュン死注意報・発令中
界魔君の弱々しい声が、私のハートを跳ね上げる。
恥ずかしさに耐えるような、魔王の声。
普段は俺様口調なだけに、なんか反則で。
もしかして……手をつないで教室に入るってこと?
そんな簡単な質問も、私は言葉にできなかった。
差し出された界魔くんの手なんか、握れないよ。
今は授業中だし。
手をつないで教室に入ったら、私の胃に穴が開くほどの鋭い目つきで、女子達に睨まれちゃいそうだし。
私に背を向けたままの界魔君が、「あぁ~!」と自分の髪をかき乱す。
しびれを切らしたかのように振り向き、私に鋭い視線を突き刺してきた。
「オマエに拒否権なんてものはないんだよ!」
私の腕が、無理やり引っ張られる。
気づくと私の右頬は、界魔の胸に収まっていた。
「俺様に逆らったら、人間界をぶっ潰すからな!」