王子と魔王の溺愛対決 キュン死注意報・発令中
界魔君から心も体も遠ざけようと決めた。
それなのに、魔王様は私に休息を与えてはくれない。
自分の机を人差し指でトントンと叩くと、私にニカっと微笑んだ。
「改めてよろしくな、陽彩!」
「……うっ」
人間という生き物は、ギャップに弱いんだと思う。
だって今、私の心臓がうるさいくらいに飛び跳ねだしちゃったから。
ドクドク、バクバク、キュンキュンって。
八重歯チラリのさわやか笑顔……破壊力がありすぎだよ。
心が惑わされた私。
恥ずかしさで声なんて紡げない。
界魔君に向かって、ウンウンと頷くのが精いっぱいだった。