王子と魔王の溺愛対決 キュン死注意報・発令中
「今まで……ごめんね」
申し訳なさそうな涙声。
私の手を両手で包み込みんだ沙月ちゃん。
「ずっと無視し続けてごめん……陽彩ちゃんと一緒にいたらハブられるって脅されて……それで……」
涙を飛ばしながら「ごめんね、ごめんね」と謝ってきた。
「本当はね、陽彩ちゃんと仲良くしたいって思ってたんだ……でも女子達の目が怖くて……イジメのターゲットにされたらと思うと、従うしかなくて……」
「沙月ちゃん……」
「本当に本当にごめんね。ずっと無視してきたのに、今更仲良くして欲しいなんて自分勝手すぎだよね? でも、陽彩ちゃんとおしゃべりしたい……中学の時みたいに大親友に戻りたい……」
沙月ちゃんは人目も気にせず、廊下で泣きじゃくっている。
嫌われていたわけじゃなかったんだ。
私の目からも、嬉し涙があふれて止まらない。
そもそも、私のせいだったんだね。
私が女子達に目をつけられちゃったから、親友だった沙月ちゃんが脅されちゃったんだ……
私よりも沙月ちゃんの方が、ずっと苦しんできたはず。
きっとそう。
だってこんなに、泣いてくれているんだもん。