王子と魔王の溺愛対決 キュン死注意報・発令中
「アーチは陽彩ちゃんに任せて、うちらはコスプレ衣装を考えようよ」
「界魔君に似合う王子様服、用意しなきゃね」
ピンク声を上げ、キャーキャーはしゃぐ女子達。
不安で押しつぶされそうになりながら、私は自分の席に進む。
とんでもないことになっちゃった。
でも、リーダーを引き受けたのは私。
最後まで責任を持って成し遂げなきゃ!
でもでも……どうしたらいいの?
はぁぁぁ~とこぼれた深い溜息で、窓ガラスが曇る。
ふと窓の外に視線を送ると、瞳に人影が写った。
中庭を挟んだ向かいの校舎。
誰かが、私のいる教室に手を振っている。
顔が小さくて、すらっと伸びる手足。
ミルクティーいろのサラサラ髪が、ふわっと揺れていて。
あれは……