王子と魔王の溺愛対決 キュン死注意報・発令中
『魔王って悪い人?』
『そうだよ。人をゴミと見なし、容赦なく消し去る。極悪非道の悪魔だって、秘伝の書に書かれているからね』
ひでんのしょ?
もっとわかりやすく話してよ。
『いつか私たちのところにやって来て、うわ~って襲ってくるのかな?』
『その時のために、陽彩は強くならんといかんよ。魔王と戦えるのは、人間界で我が一族だけ。今は、おばあちゃんと陽彩しかいないんだから』
子供の頃から、私は戦闘を学んできた。
世界を守るため。
自分を守るため。
それが私の使命だって、おばあちゃんに言われたから。
あれは小1の夏。
立っているだけで汗がブワッ。
ねっとりとした熱い空気が、体中にまとわりついてくる。
そんな猛暑の日。
私は山奥に連れていかれた。