王子と魔王の溺愛対決 キュン死注意報・発令中
「ねぇ、陽彩ちゃん。今から二人だけで、お祝いをしよっか」
「なんのですか?」
「今日はね、俺が専属モデルを務めている雑誌の発売日なんだ」
雑誌が発売されただけで、お祝い?
「この部屋の外は、とんでもないことになっていると思うなぁ」
「えっと……」
「まぁ、俺にとっては恋のスタートラインに立てた記念日だからね。どんなことが起きても、極甘笑顔を武器に跳ね飛ばしていこうとは思っているけど」
「麗先輩の発した言葉の意味が……全くわからないんですけど……」
「頭で考える必要ないよ。心で感じて。陽彩ちゃんは俺との幸せを、満喫していればいいから」
「……はぁ?」
極上の笑顔で、私の頭をポンポンする麗先輩にドキり。
逃げたい。
今すぐ逃げた方がいい。
私の危険探知機が、赤ランプを回している。
でも逃げ場なんてないんです。
私の後ろは壁なので。
背中がピタッと、壁にくっついちゃっているので。